2012年7月18日水曜日

みんな大好きUNIQLO??

暑くて読書するのもしんどいが
『ユニクロ帝国の光と影』を読んだ。

ユニクロといえば、フリースの大ヒットに始まり、その後もヒートテックやジル•サンダーとのコラボなどコンスタントにヒット商品を飛ばす日本の大企業。
ユニクロ帝国の光と影』はこのモンスター企業を引っ張る柳井正に迫った作品だ。
ユニクロは元々、PB(プライベート・ブランド=自主企画製品)のみならず、チャンピオンやリーボック、ポロやラコステといったNB(ナショナル•ブランド)も置いていた。
そういえば私自身も小学生の頃(90年代後半)にNIKEのトレーナーを買ってもらった覚えがある。

このNBの割合が減っていくのが、ユニクロの初期代名詞ともよべる「フリース」が誕生した頃である。1998年に200万着売れたフリースが2000年には2600万着も売り上げている。この数字は驚異だ。アパレル業界では50万着売ればヒット商品といわれるのだからこの数字は驚異だ。このフリースを武器に、“安かろう悪かろう”のイメージから“安いけど結構良いじゃん”という評価を消費者に植え付けたことが成功の要因であると柳井自身述べている。


しかしその後、〝ユニばれ〟とい現象が起き不振に陥った時期があった。
〝ユニばれ〟とは、「多くの人がユニクロの商品を持つことで、ユニクロの商品を来ていると周りの人に気付かれ恥ずかしい思いをすること」をさす。確かに、フリースやアウターは他人の目につきやすい。いくら安くて、品質がそれなりでも同じ物を周りの人も身につけているのは良い気がしない。皆さんもそんな経験をしたことがあるのではないか。

では、ユニクロは〝ユニばれ〟を避けるために何に目を付けたのか。
ここからは私の想像なのだが、その答えは下着である。そう、みんな大好き〝ヒートテック〟〝ブラトップ〟という商品だ。下着だったら皆と同じでも、目につきにくいところなので〝ユニばれ〟が起きにくい。さらに見えないところにはなるべくお金をかけたくないという消費者の心理につけ込み、低価格で高品質というイメージを植え付けた見事な戦略であると感心した。

ユニクロの成功は、このように一つの成功に囚われずに手を変え品を変え多角的な戦略を試みることである。当然失敗もたくさんしているのだが。
それらの要因がすべて柳井社長に起因しているかどうかまでは分からないが、この本を読む限りでは、かなり独裁型の経営方針をとっていると言える。


柳井のやり方には、賛成できないところも多い(個人的には糞食らえって感じである)が、コンスタントにヒット商品を飛ばす手腕には感心せざるを得ない。

最近はルームパンツのCMが流れる。これも部屋着だから〝ユニばれ〟起きにくいね。
ヒット商品になるのかな



おしまい


2012年7月6日金曜日

グローバル社会の悪しき側面

BS世界のドキュメンタリー シリーズ 調査報道「アジアを狙う国際タバコ産業」


をみた。

発端はこの動画だ。当時2歳の男の子が悠然と煙草を吸っている様子が映し出されている。
この男のが住むインドネシアでは、タバコに対する規定が緩く十代の若者が喫煙してもそれを取り締まる法律がない。それどころか町中にタバコ産業の広告が蔓延り、タバコを吸うことはかっこ良く、身体に有害であることすら流布されていない。さらに「タバコでガンが治る」クリニックまで存在する。
(参照: http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2795819/7078373 )


このような悲惨なことが起こるのには、実はアメリカのタバコ産業が深く関与している。
ご存知のとおり、日本を含め欧米諸国では喫煙は身体に毒であり、喫煙者のみならず副流煙によって非喫煙者の
健康までも害するということから、タバコ=悪というイメージが蔓延し、喫煙者は肩身の狭い思いを強いられている。(私もその一人である)
そのおかげで先進国ではタバコ産業は年々縮小する一方である。そこでタバコ産業が目を付けたのは、タバコに対する規制が緩い発展途上国。様々なメディアを使った若者に対するイメージ戦略。政治家に金をばらまき、甘い汁を吸わせ、規制がかからないようにするなど、このような国々はまさにタバコ産業にとってはパラダイスである。


このドキュメンタリーに出てくるインタビューアーは、タバコ会社や政治家たちに対して君たちのやり方はおかしくないか?と問いつめているのだが、彼らの答えは「これで労働が確保され、経済が循環している」というもの。(かなり大雑把に要約している)
たしかに、彼らが言っていることは間違いではない。しかし喫煙で死亡する人は年間40万人、受動喫煙で死亡する人も年間2万5000人もいる。このような人々の医療費も社会的な問題となっているし、人の死に関わる問題である。


このような構造は日本の原発産業と社会との関わりと類似している。
原発が米国から輸入され、資金がばらまかれ、安全神話が広がり、日本は原発大国となってしまった。
去年の震災でその原発の安全性が疑問視され、今も多くの放射能がばらまかれているにもかかわらず、原発が無ければ経済が回らないなどという理由をつけてそれを肯定するものが多い。しかし、メディアはその根拠を示さない。


原発の是非はともかく、問題なのは、電力や鉄鋼が電気事業連合や経団連を仕切っていって、それらを通じて政治家に献金がいき、また電力会社がマスメディアのスポンサーであるために、メディアは彼らを批判するような報道ができないということである。
つまり民意によって原発の是非が問われていないといことが問題なのだ。


このような日本の構造をみると、日本人は先進国として途上国を違って進んでいると思っているかもしれないが、それはハードのみで、その実体はインドネシアなどの国と変わらないのである。われわれはそれを自覚しなければならないし、民度をあげるためにもっと学習しなければならないと痛感する。


私たちはグローバル化によって安く海外に行けたり、海外のものを日本にいながら消化したりとその恩恵を多大に受けているのにも関わらず、もはやグローバル社会を手放しに喜ぶことができないところまで来ているのではないだろうか。  


                                          ー終わりー











2012年6月28日木曜日

『日曜日は終わらない』

初めてのブログ、

とりあえず、映画『日曜日は終わらない』の感想を述べようか。
この映画、1999年にNHKで放送されたテレビドラマ。その後2005年に劇場公開がされていてカンヌにも出品されている言わずと知れた名作。宮台真司は90年代日本映画のベスト3に入ると断言している

ただDVD・ビデオ化されていないため視聴困難。
そんな代物をどうやって観たかというと…ググッてみたら結構ネットにアップされていたwただ画質が荒いので、キャラクターの表情が見え難く、なかなか入り込むことができなかった。

それにしても、キャストがなかなかスゴイ。渡辺哲、塚本晋也、りりィ、大杉蓮…
そして林由美香(ピンサロ嬢の役)!!『監督失格』まだ観れていない。
というかNHKがよくAV女優起用を許したなと。やっぱりこの人スゴイ人なんだろう

肝心の内容は…
主人公が実の父親からリストラ宣告をうけたり、祖母が交通事故で死んだり、母親が事故を起こした相手と再婚したり、その再婚相手を殺したり刑務所入ったりと、まあ事件とも呼べるべき出来事はたくさん起こるんだが、それらの出来事はあくまで客観的に描かれていて、それに対する登場人物たちのリアクションもかなり薄い。長い尺で超ロングショット(引きの画面)が多用されていて、その観客と映画の距離感がそのまま登場人物と事件の距離感に似てるのかななんて思ったり。技法的にもかなり計算されて作られている。

この距離感は心ここにあらずの「脱社会的」な存在である主人公を際立たせている。
しかし、主人公だけが「脱社会的」な存在であるのではなくて、登場人物の多く(そしてこの映画に魅せられた人)がそうなのだ。そのような人間たちが繰り広げる、ささやかなコミュニケーションは心地よく、穏やかな波のごとく観ている人の心に響く。

脱社会的存在は、社会に敵対することなく柔和な存在として巧みに描かれている。
そして映画の中では、脱社会的存在とそれに対立する社会的存在といのが存在しないが、現実の世界では違う。
…現実ではどう生きるんだ、ニートやフリーターの諸君(自分含め)


                                 終わり